夏のしっぽをつかまらないと
麦茶だと思ってゴクゴク飲んだら、ガスが抜けきった昨日のビール。
ポケットから歯と目が出てきてくらくらした。
夏のしっぽをつかまらないと
夏のしっぽをつかまらないと
オニヤンマ君がゆれている。私の耳たぶもゆれている。
月の木漏れ日で光る石。炎はどこから?煙はどこまで?薪の先から湯気が止まらない。
川のせせらぎが5日前に水漏れしたトイレの音みたいで、下に住むひとが見せてくれた水もしたたる靴箱の天井思い出した。
扉の上に座った羊は地震が来るのを教えてくれない
川の模様
焚き火のかたち
目の前で繰り返される生成と崩壊
雲のはしっこ
海の波
集中が自然の力で取り壊される
見つめ続けることはできない。
力の及ばないところで集中とその崩壊が連続して行われていることに癒されている。
昨夜月のまわりに見た雲が、
明らかに私の描いたひつじたちに似過ぎていた。
朝日に照らされた美しい蜘蛛の巣が
3秒後には消えることも
あるんだなと思えた
虫刺されの数を数えていたのに、
ホクロから生えた毛に気を取られてしまって
ビーサンの日焼け
マシュマロの火傷
手の甲の火焼け
にんじんのタマゴ
にんじんのタマゴ
私は今日からにんじんのタマゴを探し始める
お・わ・り
『さなぎの夢』(絵/文 にんじんのタマゴa.k.a. Yu Morimoto )
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